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中小企業のAI導入率は20.4%——「まだ2割」をどう読むか

結論

全国調査によると、中小企業のAI導入率は20.4%。導入を検討中の18.6%を合わせると、約4割の会社がすでに動いています。「まだ2割しか入れていない」と読むか、「4割が動き出した」と読むかで、経営判断は変わります。そして導入済みの会社の中身を見ると、AIが効いているのは総務・管理部門に偏っていて、現場の業務はほぼ手つかず。つまり、これから始める会社にも「先行者と同じ土俵」がまだ残っています。

数字の出どころと内訳

中小企業基盤整備機構が2026年3月に公表した「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」(全国約1万社対象)によると、中小企業のAI導入状況は次のとおりです。

状況割合
導入している20.4%
導入を検討中18.6%
導入していない・検討もしていない約6割

導入している会社のうち82.6%は生成AI(ChatGPTのような文章や画像を作るAI)を使っており、導入目的の87.0%は「業務効率化・作業時間の短縮」です。売上を伸ばす攻めの使い方より、まず日々の仕事を軽くする守りの使い方が圧倒的多数ということです。

「まだ2割」ではなく「4割が動いている」

導入率20.4%という数字だけを見ると、「うちはまだ急がなくていい」と感じるかもしれません。ただ、検討中の18.6%を足すと約4割です。取引先や同業の5社に2社が、すでに何かしら動き始めている計算になります。

一方で、焦って何かを買う必要もありません。同じ調査で、導入にあたって不足している情報の1位は「成功事例・活用事例などの情報」(83.3%)でした。つまり多くの会社が「何を買うか」ではなく「自社の何に使えるのか」が分からずに立ち止まっています。この状態でツールだけ契約しても、使われずに終わる可能性が高い——これは統計が示唆する素直な読み方だと思います。

部門格差——現場業務はまだ手つかず

同調査でもうひとつ注目すべき数字が、部門ごとの導入格差です。

  • 総務・管理部門: 68.3%
  • 製造・生産部門: 34.9%

AIの導入が進んでいる会社でも、効いているのはオフィスの中の仕事に偏っていて、現場の業務——日報、検査記録、受発注、在庫管理といった紙とExcelが残りやすい領域——はほぼ半分しか進んでいません。

これは裏を返せば、これから始める会社にとっての余地です。先行企業が手を付けていない現場業務から整えれば、後発でも差は付けられます。

自社の場合はどこから始めるか

統計は全体の傾向を教えてくれますが、「自社のどの業務に効くか」は会社ごとに違います。判断の材料にすべきは全国平均ではなく、自社の業務ごとの手作業時間です。どの業務に、誰の時間が、月何時間消えているか——それを数字にするところから始めることをおすすめします。

出典

  • 中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」(2026年3月公表・全国約1万社対象)

Author

北嶋 雄一

株式会社more&F 代表取締役

モバイルゲームの企画・運営、大規模WebサービスのプロダクトマネージャーとしてSEO・グロース戦略や生成AIを活用したプロダクト開発を主導。2024年7月、つくば市で株式会社more&Fを設立。

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